>> 戻る <<
39.琉球の甘藷ミニ知識 ③いもの名の由来
○とん
 名瀬市など奄美北部の甘藷の方言。甘藷のこと、唐芋のトウがトンと発音されたものという。連濁になるときは例えばキードンとなる。(黄芋)

○羽地台湾
 1903年羽地村の我部祖河の金城善平が台湾種の畑から得た実生のいもから育成した品種。羽地村の名と品種のもとになった台湾種の名を組み合わせたもの。

○はんす
 はにすとも言う。奄美の南部地域の甘藷の方言。蕃藷からきたものでハンショ、ハンス・ハヌスというようになったものと言われている。

○ぱぱやんむ
 芋がパパヤのように黄橙色で、味も似ているということからついた名。戦後からの品種。

○弁当いも
 甘藷の品種。おいしくて色もきれいであったため、よく芋弁当用に利用されたのでその名がついた。

○又吉いも
 現在の嘉手納町野国から読谷村のクボークニラシチに転居した又吉真徳が甘藷畑でみつけた実生から育てた品種。姓をとって又吉いもというが3ケ月からは収穫ができるのでミチチャー芋(3ケ月芋)ともいう。又吉は明治時代の人。

○真栄里いも
 前里いもと表記されることもある。高嶺村真栄里の伊敷三良(1842~1917)が1905年オランダ芋の畑の中でみつけた実生から育種した品種。伊敷の出身村名が芋の名となったものである。別名はハナウティーとも言う。

○松川いも
 明治初期、現在の那覇市松川村の新城次良が那覇屋の畑からみつけた実生の苗から育種した品種。地名からついたもの。別名松川那覇屋というのも地名と那覇屋の品種を組み合わせたものである。

○むくっしゅ(百九一主)芋
 藤田百九一(むくいち)が奄美の瀬戸内あたりから同じく奄美の宇検一帯に広めたのでその名がついたもの。

○ややまどん
八重山どん。甘藷の品種。八重山から奄美地域に導入されて広まったので導入先の名がついたもの。


                                            
<文・崎原恒新>