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40. 琉球の甘藷ミニ知識
沖縄芝居と狂言の甘藷
 「琉球故事野國總管」

 この芝居は中座が上演した沖縄芝居である。あらすじについてはよくわからないが1912年(明治45年)3月23日の沖縄毎日新聞に広告がでている。それによると全七幕でサブタイトルに俗ニ芋大主前ト云フとあり、場割が紹介されている。
 1 村民田畑荒シ
 1 總管宅門前ノ通路
 1 儀間真常ノ同情
 1 娘の貞操
 1 久米村総役宅三六九
 1 野國儀間苦心母ニ知ラルゝ機会
 1 江戸九段付近總管ノ碑文
 この場割のあとに總管については琉球偉人伝や琉球沿革史、それに小学校教科書にも書いてあり、みんなの知っていることではあるが琉球の人物を追憶し、世に裨益(ヒエキ)するところがあればとも記されている。上演は中座、期日は3月23日旧2月5日となっている。
(資料提供・崎原綾乃)
「アッコン狂言」(アッコンプル狂言)
 石垣市川平の結願祭の地狂言の一つである。アッコンとは甘藷のこと、プルは掘るという八重山方言である。地狂言は祭りに欠かしてはならない演目である。あらすじは二人の娘が出て来て掘り棒で芋をほる。豊作でバーキ一杯になり、頭に載せるのに苦労する。そこへ二人の若者が登場して頭上に載せてあげる。娘達がバーキを支えるのに両手を使うのを幸いに娘の体を触ったりして会場をわかす。笑狂言よりも予祝(ヨシュク)の内容をもつ狂言である。

「アッコンと米狂言」
 石垣市登野城村に伝わる狂言である。二人の登場人物がそれぞれ、米と芋を頭上に載せて、それぞれ芋と米の出来ぐわいを誉めあうという予祝の内容である。1968年永積安明法政大学教授の要請で登野城会館で演じられたときの内容である。

「ピラ狂言」
 鳩間島の結願祭の演目のひとつ。ピラはヘラのことである。浜崎という老農民が作ったイモが見事で3歳馬のマラににて堂々として見事なものよとこれも予祝を込めた狂言となっている。

「芋掘り狂言」
 竹富島の結願祭の狂言。結願祭用の芋を掘りにきた娘達の芋が豊作で若者達が応援にきてやっとこさ運ぶという仕草をおもしろおかしく演ずる。これも予祝の内容を込めた狂言となっている。
〈文・崎原恒新〉