甘藷(いも)の栄養とおいしさのなぞ
1 バランスのとれた栄養
栄養成分のデータランド
 (お米:野菜との比較)
甘藷は畑の母乳
ごつごつした手ざわり、昔ながらの変わらない素朴な形
をした甘藷は、赤ちゃんを育てるお母さんの母乳と同じように、じつにたくさんの栄養価をふくんだ、すぐれた食品です。

 でんぷんや食物繊維をはじめとして、ビタミン・ミネラルなどの栄養のもとになるものがバランスよくふくまれています。そして、お米や麦といった穀物と、ジャガイモもやにんじんなどの野菜類の性格を兼ね備えた食べ物といえます。それだから、昔から赤ちゃんの離乳食として、甘藷をつぶしてミルクやスープにのばして食べさせていたのです。まさに“ 甘藷は畑の母乳” といえます。

 最近では、からだにとてもよい「ヘルシー食品」(健康食品)の王様とよばれています。

赤ちゃんからお年寄りまで入院している病院でも、やわらかくて自然の甘みがあり、しかも調味料をくわえないで安心して食べられる食品としてさかんに利用されています。
主食にもなる甘藷
 私たちの沖縄県では、野國總管が中国から甘藷を導入して以来、長い間、甘藷を主食とする生活がつづきました。戦争が終わった後も、しばらくの間、ごはんの代用食として食べられていたのです。これからもわかるように、甘藷は栄養の面から見ても、十分に主食になる食品なのです。

 ごはんとの栄養の比較から見てもあきらかなことですが、むしろ、甘藷のほうが栄養のバランスがとれていることがわかります。

 ここでは、甘藷のもつ栄養成分をお米や野菜類との比較をデータランドとして、棒グラフにまとめてみました。これを見ると、甘藷が栄養価かのとても高いすぐれた食品であることがよくわかります。






甘藷のじょうずな食べかた
 甘藷はバランスのとれたすぐれた食品だということはわかりましたが、たんぱく質や脂質が少ないという欠点もあります。そこで甘藷を食べるときは、これらの足りない栄養素を多くふくんだ食品をうまく組み合せることが、じょうずな食べ方だということになります。

(データはすべて生食品100g当たりの含有量 出典:「4訂日本分析表」