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41. 琉球の甘藷ミニ知識
歌に詠まれた甘藷


甘藷を詠んだ歌は琉歌・短歌・俳句・詩という「文学」だけでなく諺や遊び歌や祭祀歌謡等にもみられる。ここではその中からいくつかを紹介する。
石嶺 伝夫
むかし餓死世から命救る甘藷ぬ 種立てし佐久川比嘉の生まれ

読人しら
芋の葉の露や真玉よかきょらさ 赤糸あぐまきに貫きやりはきやり

読人しらず
芋の葉の思て竹の葉や抱きやり 蘇鉄葉のごとにそろていまうれ

伊是名朝睦
芋の葉よ歌て遊びゆたるわぬも 恋の若草やなまど摘だる

読人しらず
真謝原の芋や一本から三ばけ 赤嶺の小堀洗ひ所

金武 朝芳
人の持たち呉たる芋酒のあすが けふや主司たり前まやあらね

読人しらず
芋のうまさや唐かんだ米のうまさやはたけ米 神酒つくてのうまさや
しらはえさき唐かんだ

読人しらず
芋の葉にいぶし竹の葉に抱かち 蘇鉄葉のごとに揃てあしば

芋が出てくる諺を2つ紹介する。

うんぷるはいやるみどぅもーぱたきぬざぁゆたにきさすん
(芋掘り上手の女は畑の雑草も種子きらす。黒島の諺)

うんすくるぴそーうんぬしびどーふぁう
(芋を作るひとは選び残しのちいさな芋を食う。黒島の諺)

 この外、家作りジラバ(黒島)、うふな星のアヤグ(黒島)や米のらばユングト(西表祖内)、
動謡(本部町具志堅)、まーすやー(粟国島)等々の歌詞の中にも芋という言葉が見られる。
<文・崎原恒新>