学校や家庭で楽しむ甘藷の植え方
 甘藷は庭やベランダなどの小さなスペースを利用して、手軽に栽培できる植物の一つです。皆さんは、学校や家庭でアサガオなどを植うえて、その成長のようすを観察し、記録したことがあると思います。

 甘藷がアサガオの仲間だということは、前にもお話しました。種はほとんど見分けがつかないほど似ていますし、芽が出てもはじめのうちは甘藷もアサガオもそっくりです。つるがのびていくうちに、その違いがはっきり分かるようになります。

 甘藷とアサガオの成長のようすを観察し、記録してみると、おもしろい発見ができるかも知れません。ここでは、簡単にできる甘藷の植え方を紹介することにします。

プランターに植える
皆さんのお家や学校でも、プランターにいろいろな草花を植えていると思います。甘藷もプランターに植えて、みごとないもをつくることができます。

まず、プランターと用土を用意しましょ。用土はお店で売られている腐葉土と土
を混ぜ合わせるだけですが、少し砂を入れるとよいでしょう。

 つぎに25 ~ 30cm ほどのいもづるを用意し、用土を入れたプランターに3分の2ほど埋まるようにして植え付けます。植え付け方は、前にお話しした「釣針植え」か「斜植え」にしましょう。そのとき、葉っぱは埋めないように注意しましょう。

 一つのプランターには2本のいもづるを植えます。つるはどんどんのびていくので、支柱をたてるとよいでしょう。甘藷は乾燥に強い植物ですが、ときどきは少量水やりも必要です。

島袋由美さんの植えたプランターのいも
ふくろ栽培
 大きいビニール袋や発泡スチロールの箱を用意しましょう。袋や箱の底に水がたまらないように穴をあけておきます。腐葉土、赤玉土、砂、ボカシ肥などを混ぜたものとふかふかの状態にした用土を、40cm ほどの深さになるように入れます。植え方はプランターと同じ要領ですが、いもづるは1本だけにしましょう、2~3本も一つの袋や箱に植えると、つるがからまって養分がゆきわたらず、良いいもはできません。
ふくろ栽培された甘藷 
つるが勢いきおいよくのびています。
トンボ栽培
 食べわすれたいもから、芽が出てしまったということが、皆さんの家でもあると思います。その芽の出たいもを利用して、自分の庭に甘藷を栽培してみましょう。

 まず、いもの芽の方を上にします。反対側をさしてしまうといもができないので注意しましょう。

 土にさした芽の部分は、地上に出て茎(つる)をのばします。そこに土寄せ(148 ページに出ています)といって、節に土をかぶせます。この節から根が出て、いもができるというわけです。

 土にいもをさし、つるがのびる形が、トンボがしっぽを立てて地面にとまっているように見えるところから「トンボ栽培」という名まえがついたといわれています。
水耕栽培
まず、図のように、甘藷を水耕栽培にしてつるを育てます。これだけでも、観葉植物として楽しめますが、いもはできません。つるに節が7つほどできるくらい長くなったら、切って図のように栄養分の入った水耕液につるをさします。

 若い方の節を土の入ったザルに埋うめ、ザルの下には、底に溶液の入った容器をおきます。そこでいもが太るというわけです。いもの太り方がよく観察できます。
つるボケ
つると葉が繁りすぎて、かんじんのいもが少なく小さいことを「つるボケ」といいます。主な原因は、畑が肥えすぎたり、チッソなどの肥料のやりすぎだといわれています。そのほかにも日照不足(主に本土)や土が硬いあるいは湿りすぎなどがあげられています。

 つるボケにならない甘藷をつくるためには、前もってつぎのようなことに気をつけます。つるボケしにくい品種を選ぶことは当然ですが、高く大きな畝をつくること、日当たり・水はけが良く、土がやわらかい畑を選ぶことがたいせつです。

つるのとりおき
 根つきを良くし、活発な成長をさせるために、つるを切って植え付けるまでに3~4日間置くことを「とりおき」といいます。とりおきの間に根が1~2mm ほど成長して、根つきが良くなります。苗は根をいためないようにていねいに取りあつかい、植付つけます。

 とりおきするときは、下にぬれたムシロなどを敷き、日のあたらない場所にたばねて立てておきます。