3 植え付けのし方
 甘藷の苗であるイモヅルを畑に植える方法はいろいろあります。一般的に用いられている方法としては、「水平植え」・「船底植え」・「斜植え」・「垂直植え」・「釣針植え」などとよばれているものがあります。大きい苗の場合は「水平植え」や「船底植え」が良く、小さい苗は「斜め植え」や「垂直植え」・「釣り針植え」が良いといわれています。沖縄では「船底植え」や「斜め植え」がよく用いられているようです。それでは、植え方を一つひとつ見ていくことにします。

水平植えと改良水平植え
 水平植えは、苗を浅く水平に植える方法です。甘藷が育ちやすいという良い面がある反面、かんばつになると根が育ちにくい場合があります。暖かい場所に植えるのに適しています。

 水平植えに少し改良をくわえたのが改良水平植えです。苗を水平に植えるところはいっしょですが、こちらの方は深く植えます。水平植えに比べて根は育ちやすくなります。ただ、植えるのに時間がかかるというのが難点だといえます。


斜植え
 苗を斜めに植える方法です。乾燥した畑に植えるのにむいているといえます。

 沖縄では畝の幅を2尺5寸(約75cm)と、やや広めにとり2本立てにして植えます。苗が短く、それだけいものつく数は少なくなりますが、一つひとつのいもは大きく育つのが特徴です。早掘り栽培に用いられています。

本土ではふつう、1尺5寸(約45cm から60cm)の畝の幅はばをとり、1本立てにして苗をさしこんで植うえます。

釣針植え
 釣り針のような形で切り取ったイモヅルを苗として植えます。土の表面に出ている葉や茎の先の部分は立てて、残りは釣り針のように土の中でカーブを描く形で埋めます。畝立てに適した植え方です。

この方法だと、短い苗でもいものできる節の部分が同じ高さになるので、いものできる深さも同じになります。そのため、収し量もふえます。

船底植え
釣り針植えで使う苗より、少し大きめの苗を植えるときに用いられます。船の底のような形に植えるので、船底植えとよばれています。3ないし4番目くらいの節が同じ高さになるように植えるのがコツです。そうすれば、ほぼ同じ深さのところにいもがたくさんつきます。畝た立て、水平のどちらにも用いられる植え方です。

垂直植え
 苗を土にまっ直ぐさして植えることから「直立植え」ともよばれています。沖縄では畝立て・水平植えのどちらにも、よく用いられる植え方ですが、釣り針植えや斜植えと同じように、乾燥しやすい畑に植えるのにむいているといえます。短い苗で、つくいもの数を少なくして、早く大きないもを作る目的の早掘り栽培に用いられます。