野國總管甘藷伝来400年祭記念 (2005年2月13日日曜日) かでな文化センター
組踊「孝行の巻」と芸能の集い 第2部 組踊「孝行の巻」  >> 第1部 古典音楽と舞踊へ <<
◎組踊「孝行の巻」
総 監 督 知 花 清 秀 (国指定重要無形文化財組踊保持者)
組踊指導 瀬 底 正 憲  比 嘉 良 雄 (国指定重要無形文化財組踊保持者)
頭   取 宮 里 徹 雄 (琉舞師匠)
時の大屋子 儀 保 政 彦 (国指定重要無形文化財組踊伝承者)
大 内 章 代 (琉舞師匠)
多和田 奈江子 (琉舞師匠)
伸 眞 明 美 (琉舞師匠)
高 札 持 金 城 陽 一
供(一) 岸 本   剛
供(二) 宮 城 信 祥
供(三)兼 金 城 陽 一
供(四) 大 湾 三 瑠
後   見 真栄城 守 侯
地謡指導 知花包喜
歌・三 線 田 場 盛 幸  高江洲 昌 弘  宮 里  稔
金 城 清 松  泉 川 良 永   田場 典 明
箏   曲 翁 長 ミサ子  金 城 君 江
胡   弓 又 吉 真 也
仲田 治 己
太   鼓 新 里 徹 志
(解 説)
 大城朝薫の作「組踊五番」のひとつ、1719年初演、「屋良ムルチ伝説」に取材しています。

 同伝説については1719年に来琉した冊封副使・徐葆光の著した「中山傳信録」巻第四「琉球地図」中山省北谷の項にも紹介されています。蛇が風雨を巻き起こし、人々を苦しめ、その蛇を鎮めるために人身供養をするという説話は、東洋に広く分布しています。

 せりふは、対句を駆使しています。大蛇が登場したり、祭壇を設置して天井から神(観音)が降臨したりするなど、他の組踊にはみられない仕掛けがあります。
(あらすじ)
 頭取が登場して、「漏池(ムルチ)という池に大蛇が棲んでいて風雨を巻き起こし、農民を苦しめており、その蛇を鎮めるために人身供養が必要である。生け贄になった者の家族や親戚には生活を保障するという内容の高札を立てて希望者を募ることとする」ということを申します。

 父親を早くに亡くし、貧しい生活の中で母親を養っている姉弟が登場し、稲や粟の落穂を拾っているさなか、高札をみつけます。姉は弟を説得して、生活を救うために大蛇の生け贅になることを決意します。姉は、潮を汲みに行くと母親に口実を言って、頭取に会いに行きます。

 姉は頭取に、大蛇の生け贅になることを申し出ます。姉は頭取や大屋子たちに伴われて大蛇が出没する漏池の辺りに行き、備え付けられた祭壇に上がります。大蛇が出てきてまさに姉を喰おうとしたそのとき、神が降臨して大蛇を皮肉分散させてしまいます。姉は助かります。

 母親は、娘の企てを内緒にしていた息子を叱りつけます。自らも大蛇の生け贅になろうと言って、漏池に向かう途中で頭取一行と会い、母親と娘は無事に再会できたことを喜びます。娘の孝行心に感心した王府は、褒美として娘を王妃に、弟を王女の婿にする旨のことを頭取が母親に伝えます。
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